
嶋本 富博
日本産婦人科学会専功医指導施設、地域周産期センター、日本婦人科腫瘍学会修練施設、日本周産期新生児医学会指定施設としての役割を担っています。そのため最新の最善の医療を提供するため更には次代を背負う医師を養成するための施設として日夜研鑽に努めています。現在スタッフ7人、レジデント2人の計9人で診療に従事しています。
分娩は平成26年度600例を越え、母体搬送に対しても断らないを目標にし、昨年はすべて応需できました。これもひとえに救急外来、病棟、手術室の協力の賜物と思っています。本年も昨年を上回る分娩数が見込まれ、これまで以上に新設なった新生科、手術室との連携でお応えしていきたいと思います。
悪性疾患についても毎年新規の悪性患者数は130-150例で推移しています。
子宮頸癌は2014年度38例で、手術可能な症例は根治手術である広汎子宮全摘術を行っています。輸血回避を目的に自己血貯血はもちろんのこと、悪性疾患の後遺症の一つであるリンパ浮腫に対してもリンパ菅の選択的温存、更にはリンパマッサージを導入しています。また子宮頸癌の初期前癌病変には可能な限り子宮温存手術(円錐切除術、レーザー蒸散術)を行っています。最近では上皮内がん、高度異形成の治療例が急増し年間200例を越えています。この治療の積み重ねが将来の子宮頸癌の発症の減少に寄与すればと願っています。子宮頸癌に近年若年発症化していることは周知の事実で30歳台の増加が顕著でありますが、最近は30歳台であっても進行癌のケースが多くなったように感じます。諸外国では更に広範囲のHPVウイルスもまもなく実用化レベルにきているようですが、日本での導入はまだ先のことであり現在子宮頸癌からの身を子宮を守る方法は検診が最大の方策です。行政の努力もあり徐々に検診率も上昇していますがまだ十分なレベルではありません。検診の習慣化をお願いする次第です。子宮体がんは2014年度59例でほぼ全例手術を行い、リンパ節転移症例では抗がん剤を追加しています。リンパ節転移例でも抗がん剤投与による50%を越える5年生存率を得ています。卵巣がんは2014年38例(境界悪性腫瘍を含む)で可能な限り手術摘出を目指しており、腸管浸潤で切除困難な場合は外科との連携で腸管合併切除を行っています。III期の手術症例で術後の残存病変が1cm未満に至った症例での5年生存率は約50%となっています。また初回治療時に摘出困難なことが予想される場合は術前化学療法を行い、化学療法3回施行後を目標に摘出手術を行っています。外陰癌も年に1−2例あり悪性根治手術、放射線療法で対処しています。また良性卵巣腫瘍等の対象症例に対しては低侵襲の腹腔鏡手術を積極的に行っています。
分娩について2014年は606例で、母体搬送も92例となっています。内科、外科、精神科と共同で管理していく妊婦さんが約40%を占めていますが、新生児科と連携し、正常分娩からハイリスク分娩まで幅広く対応しております。母体搬送は原則受け入れる方針です。また開業医の先生方と緊密に連携をとっており、当科での管理が必要な患者様をご紹介いただいております。ご紹介いただいた患者様は分娩後に経過が順調であれば原則ご紹介元での管理をお願いしております。何卒ご了承ください。
宮崎県で多数の患者さんが受診され責任をひしひしと感じそのご期待に添えるよう今後も日夜研鑽してく所存です。
受診される方へ
初診の場合は、原則紹介状が必要です。かかりつけ医より紹介状を持参して来院してください。妊娠は、その限りではありません。
診療実績
分娩数
- 2015年度 分娩数 720例(うち双胎妊娠22例)
- 2015年度 母体搬送 128例
2015年度 手術件数 890例
広汎性子宮全摘出術 | 21例 |
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子宮体癌手術 | 51例 |
卵巣癌手術(境界悪性腫瘍を含む) | 42例 |
外陰癌手術 | 1例 |
単純子宮全摘出術 | 69例 |
子宮筋腫核出術 | 15例 |
良性卵巣腫瘍手術 | 33例 |
腹腔鏡手術 | 47例 |
※腹腔鏡下子宮附属器腫瘍摘出術 | 31例 |
※腹腔鏡下子宮全摘出手術 | 5例 |
※腹腔鏡下異所性妊娠手術 | 8例 |
※審査腹腔鏡 | 3例 |
子宮脱手術 | 6例 |
子宮頸部円錐切除術 | 53例 |
子宮頸部レーザー蒸散術 | 186例 |
子宮内容除去術(子宮内膜全面掻爬を含む) | 122例 |
その他 | 31例 |
帝王切開術 | 207例 |
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※選択的帝王切開術 | 101例 |
※緊急帝王切開術 | 106例 |
子宮頸管縫縮術 | 3例 |
異所性妊娠手術(腹腔鏡) | 8例 |
異所性妊娠手術(開腹) | 3例 |
- 2014年度 外来化学療法 489例
- 2014年度 入院化学療法 294例