麻酔科の紹介

莫根 正
現在、部長1名(麻酔指導医)・医長3名(麻酔指導医)・副医長2名(麻酔認定医)と卒後臨床研修医とで、手術室の麻酔を行っている。2010年度麻酔科管理症例は2942例である。
麻酔は積極的に硬膜外麻酔を行い、必要ならこれに全身麻酔を併用する。術後は硬膜外カテーテル(PCEAなど)または静注-PCAなどを利用し、術後鎮痛を行っている。2007年よりレミフェンタニルを導入し、完全静脈麻酔(TIVA)の割合が徐々に増加している。2010年のスガマデックス導入で、筋弛緩薬(ロクロニウム)の完全な拮抗が可能になった。モニターは、パルスオキシメーターを1986年に採用して以来、カプノグラフィー、麻酔薬濃度測定装置、12誘導心電図、筋弛緩モニター、多誘導心電計、混合静脈血酸素飽和度測定装置、頭蓋内酸素飽和度測定装置、持続心拍出量測定装置、BISモニター、経食道心エコーなどを使用し、より快適で安全な麻酔を目指している。
当院でも高齢患者・合併症を持つ患者は増えているが(65歳以上の患者が約38%)、他科との連携が円滑で、急患手術においても術前評価・管理を集学的に行っている。宮崎県の中核病院という性格から急患が多く、時間外手術も多い。これに対しては、365日24時間オンコール体制を敷いて、迅速な対応をしている。
診療科 | 麻酔件数 | ||
---|---|---|---|
予定手術 | 緊急手術 | 合計 | |
外科 | 584 | 139 | 723 |
心臓血管外科 | 189 | 98 | 287 |
脳神経外科 | 84 | 19 | 103 |
整形外科 | 432 | 175 | 607 |
産婦人科 | 328 | 76 | 404 |
皮膚科 | 27 | 2 | 29 |
泌尿器科 | 194 | 18 | 212 |
耳鼻咽喉科 | 394 | 33 | 427 |
眼科 | 23 | 12 | 35 |
歯科口腔外科 | 88 | 8 | 96 |
内科 | 14 | 5 | 19 |
計 | 2357 | 585 | 2942 |
麻酔法分類
麻酔法 | 麻酔件数 |
---|---|
全身麻酔(吸入麻酔) | 1246 |
全身麻酔(TIVA) | 474 |
全身麻酔(吸入麻酔)+局所麻酔 | 395 |
全身麻酔(TIVA)+局所麻酔 | 205 |
脊硬麻(CSEA) | 318 |
硬膜外麻酔 | 75 |
脊髄くも膜下麻酔 | 219 |
伝達麻酔 | 8 |
その他 | 1 |
上記以外 | 1 |
計 | 2942 |
手術部位別分類
麻酔法 | 麻酔件数 |
---|---|
脳神経・脳血管 | |
開頭 | 20 |
胸腔・縦隔 | 53 |
開胸・縦隔 | 2 |
心蔵・血管 | 101 |
心蔵・大血管 | 67 |
胸腔+腹部 | 185 |
開胸+開腹 | 1 |
上腹部内蔵 | 0 |
開腹(上腹部) | 75 |
下腹部内蔵 | 191 |
開腹(下腹部) | 139 |
帝王切開 | 388 |
頭頸部・咽喉頭 | 106 |
胸壁・腹壁・会陰 | 582 |
脊椎 | 363 |
股関節・四肢(含:末梢血管) | 154 |
検査1 手術室内 | 483 |
検査2 手術室外 | 3 |
その他 | 0 |
上記以外 | 2 |
計 | 2942 |
概要
当麻酔科は、昭和50年4月に本松研一元院長が宇野武司医師と二人で、宮崎県初の麻酔科として誕生した。
昭和52年4月の宮崎医科大学麻酔科開設に伴い、麻酔科長は菊田勇(昭和52年4月~昭和53年6月:菊田整形外科開業)、上原康一(昭和53年7月~昭和54年8月)、竹原好文(昭和54年9月~昭和55年9月)、新木正剛(昭和55年10月~昭和56年9月:新木医院開業)、小野洋一(昭和56年10月~昭和57年9月:潤和会記念病院麻酔科)、木村剛彦(昭和57年10月~昭和58年9月)、長田直人(昭和58年10月~昭和60年2月:宮崎大学医学部地域医療講座教授)、小野洋一(昭和60年3月~昭和61年3月)上原康一(昭和61年4月~平成22年3月)、莫根
正(平成22年4月~)と交代し現在に至っている。
この間、麻酔科研修医・外科系ローテーター・自治医大卒業生を含めて100名以上が勤務している。現在は、卒後臨床研修医の教育も行っている。1984年1月9日付けで麻酔指導病院の認定を受けた。当初、手術台は2台であったのが現在6台に増え、当該科手術台午後1台を加えて、麻酔科管理台は午前午後5台で対応している。
作成: 麻酔科部長 莫根 正