当院の臨床倫理指針について
2025.09.01
基本的人権、患者の権利、医の倫理、当院の「理念・基本方針」「患者の権利と責務」に基づき、患者に最良で安全な医療を適切かつ十分に提供するため、臨床における倫理的な問題に関する方針を定める。
(文書所管:臨床倫理委員会)
県立宮崎病院 臨床倫理指針
(目 的)
第1条 当院は、基本的人権、患者の権利、医の倫理、当院の「理念・基本方針」「患者の権利と責務」に基づき、患者に最良で安全な医療を適切かつ十分に提供するため、臨床における倫理的な問題に関する方針を定める。
(基本原則)
第2条 当院は、倫理的課題への対応として以下の5つの基本原則を定める。
(1)患者の人権・意思決定権を尊重し、公正かつ公平な医療を提供する。
(2)個人情報・プライバシーを保護し、職務上の守秘義務を遵守する。
(3)医の倫理に則り、各種法令・法規を遵守する。
(4)科学的根拠に基づいた安全で良質な医療を提供する。
(5)職員は医療人としての責務を自覚し、協同して良好な信頼関係に基づいた医療を行う。
(臨床倫理問題への対応方針)
第3条 主要な臨床的問題への対応として以下の7つの対応方針を定める。
(1)意思決定が困難な患者への対応について
当院の「県立宮崎病院 医療・ケアの意思決定支援に関する指針」に基づき、患者の意思が確認できない場合、又は自己決断能力がないと認められる場合には、患者本人への説明に代えて代理人に説明し、適切な判断ができるように支援する。代理人が不在の場合は、医療・ケアチームで協議の上、患者にとって最善の利益となる治療方法を優先し、判断が困難な場合には、「臨床倫理委員会」で検討して判断する。
(2)輸血を拒否する患者への対応について
宗教上の理由などから輸血を拒否される患者には、患者・家族に対して救命処置としての輸血療法の必要性に理解を求める。その上で輸血を拒否される患者には、当院の「宗教的無輸血治療に対する診療マニュアル」に則り、輸血以外に救命手段がない事態に陥れば輸血を行うという「相対的無輸血」の方針に基づき対応を行う。
(3)身体拘束について
切迫性(抑制しなければ生命にかかわる可能性がある)、非代替性(他に代わる手段がない)、一時性(必要がなくなれば、速やかに解除する)の3つの条件を満たさなければ身体的拘束は行わない。3つの条件を満たし、緊急時やむを得ず行う場合には、当院の「身体的拘束最小化マニュアル」に則り、患者・家族へ説明し同意を得て実施する。
(4)臓器移植について
法令を遵守し、臓器提供意思表示カード等で確認し意思を尊重する。さらに、当院の「心停止下臓器提供マニュアル」、「脳死下臓器提供マニュアル」に則り、臓器提供・移植を行う。
(5)終末期医療について
当院の「ターミナルステージへの対応マニュアル」に基づき、患者本人の意思決定を尊重した医療ケアを提供する。
(6)DNAR(心肺蘇生不要)指示について
心肺蘇生術(CPR)は、患者の意思を最大限尊重しつつ、倫理的側面を考慮した確認を行う。終末期・老衰・救命不能または意識回復が見込めない場合は、患者や家族に対して十分な説明をした上で、CPR を行わないことに同意された場合は、その意思を尊重する。
(7)臨床研究・治験・高難度新規医療技術導入・保険適応外治療について
ヘルシンキ宣言および「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」等を遵守し、研究協力者(被験者)の尊厳と人権を守り研究の科学的妥当性について各種委員会で審議を行う。
- 臨床研究は「倫理委員会」で審議を行う。
- 治験は「治験審査委員会」で審議を行う。
- 高難度新規医療技術導入は「高難度新規医療技術導入検討会」で審議を行う。
- 保険適応外治療薬は「薬事審議会」及び「倫理委員会」で審議を行う。
この指針は、令和7 年9月1日から施行する。
臨床倫理委員会

